②ペペ・ロメロ アルハンブラの思い出 ギター名曲集
スペインの名ギタリスト、ロメロは、スペインの伝統を受け継ぐロメロ一家の一員として、
長年にわたりギター音楽の発展に貢献してきました。
その演奏は、技巧の確かさと情感豊かな表現で知られ、今回のアルバムでもその魅力が存分に発揮されています。
アルバムの中心に据えられた「アルハンブラの思い出」は、スペインの作曲家フランシスコ・タレガによる名曲。
きらめくトレモロ奏法が特徴で、アルハンブラ宮殿の幻想的な美しさを音で描き出しています。
他にはスペインやラテンアメリカの名曲が収録されており、イサーク・アルベニスの「アストゥリアス」や
エンリケ・グラナドスの「アンダルーサ」など、ギター音楽の代表的な作品が並びます。
この1枚でクラシック・ギターの世界はほとんど把握できそうな名曲が集められており、
ギター愛好者だけでなく、初めてクラシックギターの世界に触れる人にもおすすめの1枚です。
①アリス=紗良・オット
ジョン・フィールド作曲 ノクターン全集
アリス=紗良・オットは、ドイツと日本のルーツを持つ国際的なピアニスト。
6〜7月に日本ツアーを控えた彼女が先月ジョン・フィールドの18のノクターンを全曲録音したアルバムをリリースしました。
1782年にアイルランドに生まれ、ベートーヴェンと同時代を生きたフィールドは
ショパンの作品で広く知られる作曲形式「ノクターン」(夜想曲)を19世紀に初めて作曲したといわれています。
当時、演奏家、教師、作曲家として大きな成功を収めていましたが、1837年に亡くなった後、
フィールドの名声は次第に薄れていき、彼が残した数多くの音楽的遺産は
ピアノのスタンダード・レパートリーから消え去ってしまいました。
しかしながらも、フィールドが創造した叙情的な「ノクターン」は、次の世代のロマン派の作曲家たちに大きな影響を与え、
そのうちの1人であるショパンは、フィールドのスタイルに共鳴し、自身のノクターンに取り入れ、
このジャンルをさらなる高みへと引き上げました。
最近フィールドの音楽に出会い、今回の録音に挑んだというオットは
「リスナーが『ノクターン』の起源を知るきっかけになってくれることを願っています」とコメントを寄せています。
③ストラヴィンスキー バレエ曲集
イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882-1971)は、
バレエ音楽を通じて20世紀の音楽を革新した作曲家です。
彼の代表的なバレエ作品には、《火の鳥》(1910)、《ペトルーシュカ》(1911)、
《春の祭典》(1913)の「三大バレエ」があり、
それぞれが独自の音楽的・舞踊的アプローチを持っています。
《火の鳥》は、ロシア民話をもとにした色彩豊かな音楽で、
豪華なオーケストレーションと幻想的な響きが特徴。
ストラヴィンスキーの出世作となり、ロシア・バレエ団の主宰ディアギレフの注目を集めました。
《ペトルーシュカ》では、ピアノをオーケストラに組み込み、
民俗的な旋律とリズムの多彩な変化を取り入れました。
からくり人形が命を得て踊るというユニークな物語と相まって、前衛的な響きが際立っています。
《春の祭典》は、原始的なリズムと不協和音が支配する衝撃的な作品。
初演時には観客が騒然となり、「スキャンダル」として語り継がれました。
しかし、その革新的なリズムと構成は後の音楽に多大な影響を与え、
今や20世紀の最重要作品の一つとされています。
彼のバレエ音楽は、単なる舞踊の伴奏ではなく、
音楽そのものがドラマを生み出す独立した芸術として、
現在も多くの指揮者・ダンサーに愛されています。
②シベリウス作曲 ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47
プロコフィエフ作曲 ヴァイオリン協奏曲 第1番 ニ長調 作品19
シベリウスのヴァイオリン協奏曲 ニ短調は、彼の唯一の協奏曲であり、
北欧の大自然を思わせる壮大で幻想的な作品です。
冒頭、静寂の中から紡ぎ出される独奏ヴァイオリンの旋律は、
まるで冬のフィンランドの風景を描くかのような透明感を持っています。
初演当初は難易度の高さから酷評を受けましたが、
改訂を経て現在ではヴァイオリン協奏曲の最高峰として愛されています。
一方、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲は、
1917年、ロシア革命の激動期に作曲されました。
シベリウスの抒情性とは対照的に、
ユーモアと幻想が共存する独自の世界を持っており、
神秘的な世界を描いています。
この2曲は異なる個性を持ちながら、
ヴァイオリンの表現力を極限まで引き出す点で共通しています。
シベリウスの冷たい情熱とプロコフィエフの夢幻的な響き。
聴き比べることで、ヴァイオリンの奥深さを感じることができるはずです。
2025年が早くも12分の1、過ぎてしまいました。
東京の初雪もそろそろでしょうか。
今月のBGMは比較的新しい時代のものを選曲いたしました。
楽しんでいただけましたら幸いです。
①マリア・カラス 名演集
「世紀のディーヴァ」と称された20世紀最高のオペラ歌手の1人、
マリア・カラス(1923-1977)の代表作を詰め込んだ2枚。
「ノルマ」「トスカ」「椿姫」などの名演は、今もなお語り継がれ、
オペラの歴史に燦然と輝いています。
しかし、その栄光の裏には、オナシスとの恋愛やキャリアの浮き沈み、
孤独な晩年といった波乱に満ちた人生がありました。
昨年、そんな彼女の生涯がアンジェリーナ・ジョリー主演の映画で描かれ、
再び注目を浴びています。
本作は、カラスが晩年を過ごしたパリでの日々を中心に、
彼女の芸術への情熱や苦悩を深く掘り下げた作品となっており、
ジョリー自身も「カラスの精神を尊重しながら演じることが光栄」と語っています。
日本では2025年2月5日に公開予定とのことで、こちらも楽しみです。
③カプースチン作曲・演奏 8つの演奏会用エチュード
ニコライ・カプースチンはロシア出身のコンポーザー・ピアニストで
クラシック音楽とジャズを融合させた独自のスタイルが日本でも人気を博しました。
その原点となったのが、この自作自演のアルバムです。
この作品は、リストやショパンの伝統を受け継ぎながらも、
ジャズのリズムや即興的な要素を取り入れており、
ピアニストに高度な技術と表現力を要求します。
特に注目すべきは、各エチュードが異なるキャラクターを持ちながらも、
一貫してジャズのエッセンスを感じさせる点です。
第1曲「前奏曲」は、エネルギッシュなスウィング感と複雑なハーモニーが特徴で、
聴衆を一気に作品の世界に引き込みます。
第4曲「インプロヴィゼーション」では、即興演奏を思わせる自由なフレーズが展開され、
まるでジャズクラブにいるかのような雰囲気を醸し出します。
最終曲「トッカータ」では、激しいリズムと華麗なテクニックが炸裂し、
圧巻のフィナーレを迎えます。
ピアノの可能性を追求したカプースチンの世界観を体感できる1枚です。
②パーヴォ・ヤルヴィ指揮 NHK交響楽団 バルトーク作品
パーヴォ・ヤルヴィがN響の首席指揮者としての最後のシーズンに手がけたバルトークの名演、2作品を収録したCD。
「中国の不思議な役人」組曲版はヤルヴィ初の録音で、
N響の卓越した技術と彼の緻密な指揮が融合し、劇的かつ力強い演奏が実現しました。
一方、「管弦楽のための協奏曲」は16年ぶりの再録音で、
彼がN響首席指者就任時に取り上げ「コンサートベスト10」に選ばれた人気の演目です。
これらの演奏は、2019年の「三部作」(「弦・チェレ」「ディヴェルティメント」「舞踏組曲」)と対を成す作品として記録され、
ヤルヴィのもとでN響が到達した音楽的頂点を示し、新しいバルトークの世界を
切り開きました。
N響のドイツ的サウンドとヤルヴィの功績が刻まれた名盤です。
皆さま、新年いかがお過ごしでしたでしょうか。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
①カラヤン指揮 ウィーン・フィル ニューイヤー・コンサート
1枚目にご紹介するCDはまさに新年にぴったりのBGMです。
ヘルベルト・フォン・カラヤンは、20世紀を代表する指揮者の一人で、
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の長年の音楽監督として知られています。
カラヤンがニューイヤーコンサートを指揮したのは1987年、彼のキャリア終盤にあたる時期です。
このコンサートではヨハン・シュトラウス一家のウィンナ・ワルツやポルカを中心とする軽快で華やかなプログラムが披露されました。
カラヤン特有の緻密で壮麗な音楽作りが際立ち、特に「美しく青きドナウ」や「ラデツキー行進曲」といった定番曲では、
彼の指揮の下でウィーン・フィルの卓越した演奏が聴衆を魅了しました。
この公演はテレビ放送され、全世界のクラシックファンに大きな感銘を与えました。
カラヤン指揮のニューイヤーコンサートは一度限りになりましたが、その影響力は大きく、
クラシック音楽の伝統に新たな魅力を加えた特別な公演として語り継がれています。
チャイコフスキー作曲 3大バレエ
チャイコフスキーの3大バレエ、「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」は、
クラシック音楽と舞踊の融合による不朽の名作として知られています。
それぞれの作品は、チャイコフスキーの作曲家としての才能を余すことなく発揮しており、美しいメロディとドラマティックな展開が特徴です。
「白鳥の湖」は、白鳥に姿を変えられた王女オデットと王子ジークフリートの悲劇的な愛を描き、
幻想的で感動的な作品です。
一方、「眠れる森の美女」は、華やかで壮麗な舞台と音楽が特徴で、
王女オーロラと王子の愛が、妖精たちや魔女の魔法によるドラマを通して描かれます。
中でも「くるみ割り人形」は、クリスマスの季節に欠かせない作品です。
物語は、クリスマスイブにくるみ割り人形を贈られた少女クララが、王子に変身した人形と、夢の中で不思議な冒険を繰り広げるというもの。
この作品は1892年に初演され、当初の評価は芳しくありませんでしたが、現在では再評価され、
クリスマスシーズンの定番となっています。
今回選んだCDには「花のワルツ」や「金平糖の精の踊り」などの特に有名な楽曲が抜粋で入ってます。
③ラヴェル 2台のピアノのための作品集
2台ピアノのオリジナルの作品はそれほど多くはなく、今回のCDもオーケストラや連弾の作品を2台のピアノのために編曲したものがほとんどです。
ラヴェルはピアノのための作品を管弦楽に発展させた曲は多く残していますが、逆にその反対の発想は少数です。
ですが、管弦楽の魔術師と言われたラヴェルですから、その手腕をピアノの編曲にも発揮していると言えるでしょう。
このCDに収録された楽曲もラヴェル自身の編曲であり、多彩な音色や遊び心のあるリズムを楽しめるような作品になっています。
オーケストラとは一味違う演奏をお楽しみいただけると思います。
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